「人と自然の関わりを体感する」
宮崎県都城市に誕生した KIRISHIMA GREENSHIP icoia は、霧島酒造とスターバックスの協業により計画された、地域にひらかれた複合施設です。
Green Wise は本プロジェクトにおいて、施設全体の植栽基本計画及び、屋上緑化・植物園内緑化の実施設計を担当しました。
霧島酒造は、長年にわたり環境への取り組みや資源循環を大切にしてきた企業です。
そうした環境への取り組みを「説明」するのではなく、「空間体験を通して実感できること」を目指し、私たちは計画を進めました。
また、霧島酒造が大切にしている、地域の人々が日常的に立ち寄り、心地よく過ごせる「憩いの場」であることや、植物・建築・コーヒーをきっかけに多くの人が自然と集まる場所となることも計画する上で考慮したポイントでした。
本計画におけるグリーンワイズが提案したテーマは、「人と自然の関わりを体感する」 ことです。
植物を鑑賞の対象として配置するのではなく、とどまり、くつろぎ、集い、楽しんだり、利用したりして人と関わる存在として、日常の風景の中に自然に溶け込ませることを意識しました。
屋上庭園「見晴らしの丘」について
屋上庭園「見晴らしの丘」は、空や風、目の前に見える霧島山やそばを流れる沖水川など、周囲の景色を感じながら、気持ちを切り替えて過ごせる場所として計画しています。
風にそよぐような柔らかい枝葉の低木、グラス類などの下草類で計画しました。
例えば、フウチソウは風に美しくそよぐ姿になることから、風の通り道を見る事が出来るという意味の「風知草」とも表現されています。
また、美しく雄大な霧島山を望む広場空間では、見通しよく低木下草類を配置しました。
建築や植栽を通して施設全体の気配を感じつつ、一段上がることで生まれる距離感が、日常の中に小さな余白をもたらします。
季節や時間の移ろいを感じながら、それぞれの過ごし方が自然に生まれる空間を目指しました。
植物園「めぐりの森」について
植物園「めぐりの森」は、植物を種類で見せるのではなく、人との関わり方を軸に構成した空間です。
園内は以下の4つのテーマで構成されています。
暮らしを支える植物
生活の中で使われてきた植物を通して、
自然と人の距離の近さを感じられるエリア。
味覚で楽しむ植物
さつまいもやコーヒーの木など、
ものづくりや食の背景となる植物を紹介し、
産業と自然のつながりを表現しています。
彩りを添える植物
季節ごとの変化や色彩を楽しみながら、
空間にやわらかな表情をもたらす植栽構成。
水と共に生きる植物
水辺環境に適応した植物を配置し、
生命を支える循環を感覚的に感じられるエリア。
いずれのエリアも、
植物が「展示物」ではなく、空間とその中での体験を形づくる存在として計画しました。
おわりに
KIRISHIMA GREENSHIP icoia に私達が計画した植物や空間は、完成した瞬間がゴールではありません。
人が訪れ、関わり、時間が積み重なることで、少しずつ風景が育っていくことを前提とした計画です。
本プロジェクトは、霧島酒造から学んだ言葉「100年の時が語る”人と風土の醸すもの”」。
この言葉の意味を考えながら取り組んだプロジェクトになりました。
この施設やそれを取り巻く自然環境が、人と自然の関係を身近に感じるきっかけとなり、地域に根づいた風土の一部として育っていくことを願っています。
《Information》
KIRISHIMA GREENSHIP icoia
所在地:宮崎県都城市下川東4丁目5869番8
竣工日:2026年1月27日(火)
施主:霧島酒造株式会社
建築設計:隈研吾建築都市設計事務所
建築施工:鹿島建設 九州支店
植栽基本計画&基本設計:株式会社グリーン・ワイズ
屋上庭園・植物園内実施設計:株式会社グリーン・ワイズ
写真:川澄・小林研二写真事務所