GREEN WISE

WORKS

4PLA(札幌4丁目プレイス)

札幌中心部に新たにできた複合施設「4PLA」において、グリーン・ワイズが「まちのリビング」の植栽設計施工、維持管理、アート作品制作を担当いたしました。

地域性を表現した公共空間をつくる

かつて4丁目プラザという名前で1971年から2022年まで営業されてきた施設でしたが、2025年4月から商業施設とオフィスの複合施設として新築建替されることに。その中で「まちのリビングの計画において、植物や環境に詳しい専門家との協業が必要」という要望があり、グリーン・ワイズのスローグリーンの考えに共感をいただき、このプロジェクトが始まりました。
鹿島建設株式会社より企画業務・設計施工業務のご依頼をいただいたところから始まり、打ち合わせを重ねていく中で「鹿島の環境活動を象徴する、鹿島らしい作品を作ったらどうか」というご提案を弊社から行い、スロースカルプチャー「尺別の輪」の制作まで行うこととなりました。

「まちのリビング」としての空間をどのように表現していくのか

場所は札幌の中心。4丁目プラザの建て替えに伴い計画された屋内の誰しもに公開された場「まちのリビング」は、都市計画の世界ではあまりないチャレンジングな試みでした。
このプロジェクトを進める中で、施主である鹿島建設やそのグループ企業の皆様と対話を重ね、一緒に目指す空間を作っていきました。
《その空間に来て下さるお客様の体験こそが、計画において最も重要である》
私達のこの想いが軸となり、まずは鹿島建設グループで計画に携わる皆様と一緒に、「完成した場所ではどのような体験が起こるだろう」ということを皆で考えて発見するワークショップを行いました。
その後に、参考事例の視察などを行い、目指す空間のイメージを皆で固めながら、「その場での体験をより豊かにするための空間や植栽」という位置付けで計画を進めていきました。

廃材を再利用したプランター

このプロジェクトを通して、廃材の塗料化をきっかけにモノづくりのあり方をデザインする取り組みと出会ったことから、私達は、まちのリビングにも廃材を利用したプランターを計画しました。
鹿島らしい環境への取り組みの象徴の1つとして、プランターカラーには廃材レンガを再利用した塗料を使い、マルチングとしても廃材レンガを再利用しました。

材料探しの旅で出会ったツルウメモドキ。尺別の輪 完成に至るまで

「この場所唯一の鹿島らしい作品を作る」
スロースカルプチャーは素材のストーリーと共に作品が完成するため、何を作るかは最初からは見えていません。まずは材料探しから始まりました。いくつかの候補の中から、鹿島グループが保有・管理している尺別山林を選定し、グリーンワイズで作品を作り続ける高橋慎史が鹿島建設の皆様と一緒に山に入って材料探しをすることに。

多様な植物が自生している中、この空間に合うような素材に出会うことができるか不安な気持ちもありましたが、「⼭に⾏けば、必ず何か発⾒がある!」という信念のもと、⼭の中を歩いていると、⽊々に絡まる野趣豊かな表情をした、ツルウメモドキの姿が目に止まりました。
ツルウメモドキは美しい実をつける植物でありながら、旧来、山林管理の過程では、剪定・伐採されてきました。こういった植物を再活用することこそ、環境への取り組みの表現として「作品にふさわしい!」と、その場にいた全員の気持ちが一つになった瞬間でした。

「尺別の輪」という作品名は、この瞬間を共にした仲間との絆をもとに名付けられ、1F待合室の天井に吊るすアートとして展⽰されています。

鹿島建設は「4PLA」を、地域と人、自然がつながる新しい都市の居場所として再生しました。4月より区画毎に順次オープンし、現在は地元の方を始めとしてたくさんの方が訪れています。芝生の上でおしゃべりをしたり、テラスを眺めたり、地元のアート作品を眺めたりと活用され始めているこの場所が、「まちのリビング」として地元の愛される施設となっていくことを願っています。

《Information》

札幌4丁目プレイス「4PLA」
所在地:北海道札幌市中央区南1条西4丁目1番地1
竣工:2025年4月

事業主・建築設計施工:鹿島建設株式会社
まちのリビング植栽計画(1F,3F)、スロースカルプチャー(1F)の企画・設計・施工・管理:グリーン・ワイズ

アーティスト紹介
高橋慎史
GREEN WISEおよびGREEN WISE ITALYアートディレクター。前職である家具職人の経験を活かし、素材としての木材から、生きている植物そのものに魅力を感じ、グリーン・ワイズに入社。イタリア法人ではCTOとして現地スタッフへの技術指導も経験し、帰国後はグリーン・ワイズの環境共生の理念のもと、自然の素材を活かした作品づくりを行う。「尺別の輪」を制作。