グリーン・ワイズの種たち
田中順子
高橋慎史
まず、「緑地プランナー」とは

企業が保有する緑地や公園などの緑地空間を地域環境にとってより良い緑に変えていくこと、また資産として活かしていくご提案を行う仕事です。当社としては、ランドスケープの設計、施工、管理を一貫して行い、「どういう緑地にしていくか?」、「この緑地空間にどのようなイベント展開が適しているか?」などのプランニングも行っています。

前職は何を?

 造園コンサルタント会社に6年ほど勤め、集合住宅のランドスケープをはじめ、その周辺に配する公園などの緑地計画・設計を行っていました。
 都心部の団地に住まう人々にとっては、敷地内にあるプレイロットと呼ばれる本当に「小さな公園」が近隣のコミュニケーション促進の場として大切な役割を持っています。こうした屋外の緑地空間の魅力をいかに引き出すかを考える仕事です。長い年月をかけて大きく育った木々は居住者の方々の愛着もあり、その価値を増しています。特に、団地建替え時には、そうした緑を活かした計画をし、緑と共にそこにある居住者の想い出や愛着を大切にしていました。
 集合住宅の屋外緑地空間は、完全なプライベート空間でもパブリック空間でもないセミパブリックな空間です。ご近所付き合いの場であり、建替えの場合は以前から居住されている方々と新しく入居する人々が新しいコミュニティーを作る大切な場です。さらに近年では敷地内のセキュリティーをいかに高めるか、子供達の安全をいかに確保するかということも大きな問題になりますので、それら諸問題の最適化を計り、いかに魅力を高めるかが課題でした。難易度も高かったのですが、やりがいもある仕事でしたね。

緑地に興味を持ったきっかけは?

 私は福岡県の北九州市と福岡市の間にある田舎の出身で、山も海もある自然に囲まれた環境に育ちました。けれども、幼少の頃からなぜか公園で遊ぶのが大好きでした。整然とした花壇や遊具、芝生の広場など、そこに訪れている人も多かったせいか、人の手が入った「公園」という空間が子供心にも都会的と思えたんですよね。そして、いつしか、大きくなったらこういうのを作れる人になろう、と。
 よく通ったのが、「海の中道海浜公園」です。ここで遊ぶのが大好きでしたね。ちなみに、現在一番気に入っている公園が北海道にある「モエレ沼公園」です。ここはイサムノグチ氏の設計による、随所にセンスが光る素晴らしい公園だと思います。

現状の業務を教えてください。

 都市における企業ビルの屋上空間、商業空間、そして、個人邸などの造園プランと営業を担当しています。植物を扱うため生育や気候条件など生き物に良いことと、人が利用するものですから、見て楽しく五感体験ができる場作りを心がけています。
 ところで、これは私の持論なのですが、例えば都内などは緑が少ないと言われています。けれども、都心には代々木公園や新宿御苑、皇居や赤坂御所周辺などはもちろん、私有地にもたくさん緑があるにも関わらずそう思われていない。それは、普段気にかけられていないだけでは、と思えます。大切なことは、これらの緑が今後開発などによって減っていかないためにも純粋にの良さを感じられるような空間作りが必要です。その方策の一つが「SEGES」然り、そして我々が行っている「緑地マネジメント」のサービス提供です。
 ただそこにあるだけの緑地ら緑の良さを味わえて楽しめる空間に変えていく。そして、必要だと感じられるからこそ緑地が自然と残されていく。そういう流れを作っていきたいと感じています。

ご趣味は?

 会社がある多摩市に引っ越してきて2年になりますが、ここには緑豊かな公園がたくさんあります。週末には、妻と1歳半になる子供と一緒に月に3回くらいはお弁当を持ってピクニックに出かけています。勉強にもなるんですよね。現在の趣味は、ずばり「家族と公園で過ごす」です。仕事とも関わりますが、発見する楽しみがあります。「この植栽の仕方はうまいな」とか、「どういう場所に人が集まってくるか?」とか。欧米では、人々が読書やひなたぼっこをしながら思い思いに公園で寛いでいますよね。ここでは私の家族以外にピクニックをしている人はほとんどいません(笑)。この違いは何かなと考えています。芝生に立ち入るなとか、ルールが多すぎるのが問題の一つかなと。そうしたルールが必要になる公園自体の計画や設計にも問題がありそうです。仕事につながるヒントがたくさんありますし、幸い家族にも好評なので、妻や子供の率直な意見に耳を傾けつつ、今後も続けていこうと思います。いずれ自分の設計した公園に家族で出かけて寛ぐということもやってみたいですね。私は寛げないかもしれませんが。

今後の目標を教えてください。

 公共空間ではなくても皆さんが自由に使えるような空間を作っていきたいですね。現在は企業が所有しつつも使われていない緑地の中に遊歩道やベンチ、そして植物の解説サインなどを配して、企業の従業員をはじめ近隣の住民の方までもが楽しめる空間を作り、緑地の価値も企業の価値をも高めていくようなことを仕掛けています。
 楽しむ緑という意味では当社がご提案する「エディブルランドスケープ」(菜園、果樹など食べられる植物のある風景)という考え方は有効だと思いますね。緑地に四季折々の実がなるというのは楽しいと思いませんか? 私は自宅のベランダで「ほうれん草、春菊、イチゴ」を育てています。ちなみに、夏は、「ナス、ピーマン、トマト」などの夏野菜です。それだけでも食用植物が育つというのは、とても楽しい! 集合住宅や企業が保有する緑地も同じ様に楽しく魅力的な空間にできるはずです。「緑地はもっと楽しく、魅力的で、有効活用できる!」という考えを広めていきたいと思っています。

私が担当する業務の流れ

●緑地の整備、リニューアルの企画、設計、マネジメント(管理・運営)企画の業務

1.依頼→クライアントとの打合せ(緑の現状や整備方針、目的、活用方法などについてヒアリング)
2.現況調査→現地調査や文献調査を行う
3.基本方針、コンセプトの立案→ご提案資料を基にクライアントとの打合せ
4.設計、見積り→設計者、デザイナーと共に図面作成し工事金額や施工後のマネジメントに係るコストの積算
5.工事受注
6. 施工担当と打合せ(施工方法検討、施工準備)
7.施工、引渡し
8.マネジメント計画を管理部門(カスタマーリレーショングループ)へ引継ぎ

●既存緑地のマネジメント(管理・運営)企画の業務

1.依頼→クライアントとの打合せ(緑の現状、活用方法などについてヒアリング)
2.基本方針、コンセプトの立案→ご提案資料を基にクライアントとの打合せ
4.緑地マネジメント業務受注
5.敷地の詳細な現地調査(樹木調査、生態調査)の計画、実施。調査結果報告書の作。
6.緑地のマネジメント計画作成
7.クライアントとの打合せ
8.成果品の納品

My Favorite Green

 好きな植物ということで、2つあげます。一つは九州のクス。もう一つは関東のケヤキです。植物は種によって生育に適した気候や土壌があります。適した環境で生育した樹木は本来の美しさや力強さを発揮しますが、そうではない場合にその魅力は半減してしまいます。今回2種類の樹種を地域限定で挙げたのはそんな理由です。実家のある九州には神社などに必ず幹周りが2mを超えるクスがたくさん見られます。その堂々とした力強い姿は本当に美しい。
 しかし、関東では樹高はあってもひょろひょろとしていて、あまり魅力を感じません。関東ではやはりケヤキが美しい。冬の樹姿も美しいし、樹木本体の大きさに比べて小さな葉も魅力です。10代のときに初めて関東に出てきた時に大学の構内にあったケヤキを見て、その魅力に取り付かれました。ちなみに、九州ではうどんが大好きでしたが、関東に来てそばが大好きになりました。植物も食べ物も気候風土や地域文化によって適不適があるのだということを最近よく思います。